ドラ息子向け豪華“受験合宿”
受験シーズン直前ともなれば、予備校の特別講習の値段もグンと高くなるのが通り相場。内容はより実践的なものになり、親にすれば、それでも受かればとギャンブラーにも近い心境になるものだが、代ゼミが開催を予定していたのは「空前絶後」と称した、その名も『ここまでやるか!! 代ゼミ受験必勝合宿』。
私大医学部の受験生を対象に、来年1月17日~2月18日の32泊33日間、14人限定プランだ。
費用は宿泊費、食費を含めた1日当たりの固定参加費が10万円。これに「固定指導料」として最低1日14万円。さらに、個別指導料90分3万5000円の「特別授業」を1日4コマ受講するのが必須とされていた。
少々計算がややこしいので、募集告知の“支払いモデル”を参考にすると、《入学試験のある日が20日間(個別指導料免除)、入学試験のない日が11日間の場合、10万円×31日間(初日と最終日は除外)+3万5000円×4コマ×11日間=464万円》。
1カ月で500万円近くかかり、期間中の受験日が少なければ、その日の分、費用はもっと上がることになる。
目が飛び出るような高さだが、ホテルの客室を個別指導ルームに改装し、照明も明るくするなど最適な環境を整備。ツインルームを1人で使用し、フィットネスクラブと提携し、代ゼミスタッフと現役医大生の24時間サポートと至れり尽くせり。
代ゼミでは「受験会場への送迎や朝、昼、夕のスペシャルメニューなど快適さを追求したため」と説明している。
10月1日に募集を開始するや費用の高さもあって受験業界で話題を集めたが、約1カ月後の11月9日、あえなく中止に。
理由について代ゼミは「責任者が体調を崩し、合宿の運営に支障をきたす恐れが出ました」とコメント。同日時点で申込者がゼロだったこともあり、「今なら誰にもご迷惑をおかけしないと判断した」としている。
それにしても豪華な合宿。東大医学部卒で、多くの医学部受験生を指導してきた精神科医の和田秀樹氏は「あえて合宿を実現してもらいたかった」とし、意外な事実をこう明かす。
「開業医の親にとって、子どもが医師になれない逸失利益は数億円に達します。合宿費用は一見高いと思えますが、投資として考えれば価値があります。よくいう医者のドラ息子は、勉強嫌いで家庭教師も効果がないことが多い。でも、こうした詰め込み合宿は案外効果があるんです」
今回が初の試みだったという代ゼミ。和田氏は「合宿の実績を出せば支持は得られるはずです」とも。来年はぜひ実現してもらいたいもの!?
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