「女の金銭心理学」

  面白い記事がけいさいされていましたので、本日は空手と全然関係がないのですが掲載させていただきました^^。
                 つい買ってしまう「女の金銭心理学」

              ~なぜ「お得」という言葉に負けるのか~

こんな予兆に要注意!「女の物欲」「1円でも安く」と節約に精を出しているかと思えば、「たまにはね」とブランドの紙袋を片手に帰ってくる。そんな矛盾だらけの、女の消費メカニズムを解明した。


■スーパーの激安品は妻たちにとって「戦利品」だった

 夫にはとうてい理解し難い、妻の買い物感覚。不可解なのはその両極端な二面性である。デフレの進行により、1円でも安い物を求め自転車を駆って隣町のスーパーへの遠征頻度はアップ。各店のお買い得品をハシゴし、残ったお金をせっせと貯金するかと思えば、ある日突然、見慣れぬバッグがちょこんと食卓の上に置いてある。家庭の平和維持のために、値段は聞かない。だが、恐る恐る切り出してみる。
「あれ、こんなバッグ持ってたっけ?」
 すると妻は用意していた言葉を笑顔で言うのである。
「え? 前から持ってたよ」
 ちなみに、「前」とは、せいぜい2週間前程度である。わざと披露したのは、クレジットカードで買ったからね、という妻流の仁義の切り方だろうか。
 夫としての喫緊の課題は、この二律背反に見える妻の物欲メカニズムを理解することである。そうすることで、もしかすると妻の買い物行動を、温かいまなざしで見守ることができるようになるかもしれない。

 そこで元・博報堂研究開発局・上席研究員で、女性の消費分析のエキスパートとして『晩嬢という生き方』などの著書があり、現在は「女の欲望ラボ」代表を務めている山本貴代氏に助けを求めた。
 まずは、「激安」「お得」「底値」といったチラシの赤文字にとことん弱い彼女らの購買心理である。いくら安いとはいえ「数十円~数百円お得」の買い物に時間をかけるくらいなら、週に何日かパートをすればいいじゃないか、と思う同志は多かろう。
「主婦という職業は本当に達成感を得にくいのです。掃除をしても、子供にご飯を食べさせても、“主婦なら当然”で終わり。お給料は出ないし、第三者から評価されるわけでもありません。何かに貢献している実感が持てない。では、どこで頑張ると目に見える貢献ができるか。それが買い物なんですね。激安品は女性にとっての戦利品とも言えます。限定○個や、夕方4時から5時までのタイムセールは早い者勝ちの買い物レース。そこで自分は賢く安い買い物をした。そうしたなかで、達成感を得るのです」

 ならば、やはりパートに出るなどして、達成感を得ればいいじゃないかと思ってしまうが、そのあたりの提案は同志諸君も経験されているとおり、鬼門である。「じゃあ、家の掃除はしなくていいのね」とか「子供の習い事の送り迎えは、あなたがしてくれるのね」と反撃されるので触れてはいけない。
 とにかくここで我々が肝に銘じておくべきは、妻たちの節約が毎回数百円、毎月のトータルで数千円であっても、彼女たちにとっては、金額以上の価値があるということだ。そして戦利品に対しては「どうせ食べきれない」といった非難ではなく、「さすがだね」という評価こそ、妻の笑顔を引き出し、家族で楽しい食卓を囲むコツでもある。
■「万円単位」の惨劇! 妻の悲劇のヒロイン化を食い止めるべし

 では、冒頭の「バッグ」についてはどうなのか。絶対買うなとは言わないが、頻繁にやられると、家計にも夫の心にもダメージが大きいのだが……。
「まず知っておいていただきたいのは、数万円の服やバッグ、数千円の昼のランチ、400円ほどのフレッシュジュース、こうした“ちょっとお高い”消費をするとき、女性の中にはいつも罪悪感があるということです。特に主婦であれば、夫はお弁当なのに、自分だけレストランでランチしちゃダメよねとか、家族みんなのお金から自分の服を買っていいのかな、とか。そういう後ろめたさを感じるから、普段は我慢していますよね。誰だってそうだと思われるかもしれませんが、男性は罪悪感があるから我慢するというより、『本当に必要かどうかで判断する』というスタンスが近いでしょう」(山本氏)

 なるほど。しかし、こうした後ろめたさを感じながらも、実際には高い買い物をしてしまうこともあるだろう。そこにはどんな購買心理があるのか?
「そうですね。実はこの罪悪感があることが、女性に少しお高い消費をしやすくさせている、ともいえるのです」
 なぜなら、罪悪感の壁さえ取り除いてしまえば、彼女たちの物欲を止めるものは何もないから。だから女性は自ら何かしらのきっかけを作っては、この罪悪感を取り除きたがる(男性は必要性に理由をつける)。
 代表的なものは「私は頑張ったから」といった理由による「自分にご褒美消費」。400円ぐらいするフレッシュジュースを買ったりする。似たような消費傾向としては資格試験などの受験に際して、ちょっと高価なボールペンを買うといった「これがあれば頑張れるから」という「馬ニンジン消費」だ。これらには目標設定をして、それを励みに頑張るという健全さがあり、夫のほうも、「そういうのは必要かもね」と、なんとなく納得しやすい。

 一方、男性が理解しにくく、夫婦のいさかいの元になりやすいのは、外的な要因によって罪悪感が取り除かれるケースである。先の「安かったから」という激安消費に夫がもろ手を挙げて賛同できないのもそうだし、「店員に褒められたから」「あの服が私を呼んでいたから」というのも「自分の意見はないのか」「服が呼ぶわけないだろう」となる。しかし、このあたりはまだ序の口だ。男性にはもっと理解不能で、消費額も大きく、夫婦に大きな溝を作る消費傾向がある。それが毎日のストレス環境によって「かわいそうな私」になった妻が断行する「悲劇のヒロイン消費」である。
「こんなに頑張っているのに、誰もねぎらってくれない。私ってかわいそう、と悲劇のヒロイン化がどんどん進み、心にポッカリ空いた穴を埋めるために大きな買い物をしてしまう」(山本氏)
 仕事と家事の両立を迫られる女性も多いゆえ、「会社でも自宅でも、こんな重労働を強いられて」と孤立無援な私を自ら慰める。これが専業主婦であれば、通塾する子供のためのクルマ送迎や夜食の弁当作り。初めは、難関校に合格するために、とサポートを心に強く誓ったのだけれど、次第に「私はしょせん、家族のタクシーみたいなものよ」「私なんて飯炊き女でしかないわ」と腐りだす。ストレス環境が引き金になって、「私は○○な女」などと自分に悲しいネーミングをする。すると妻の精神的疲労はどんどん加速していってしまう。そんなシンデレラな私を救うにはエステで自分を磨くか、服やバッグ、アクセサリーで着飾るか。もはや買い物に罪悪感など、感じている状況ではない。そして、「心にポッカリ空いた穴の大きさに比例して、買い物の額も増えていく」(山本氏)のである。
 前出の消費が比較的少額ですんだのとは対照的に、こちらは基本的に万円単位になることが多い。

 このように妻が物欲を満たすことでのみ、自分を支えるような状況に陥らないために、夫ができることは何か。
「妻の気持ちを受け止め、話に耳を傾けること。そして、余計な買い物をしたと感じてもグッとこらえ『たまにはいいよね』と言うことです」(山本氏)
 大事なのはそこで喧嘩を繰り広げ、わが家のヒロインの心のすき間をさらに押し広げないこと。二次災害を防ぐことである。



(PRESIDENT Family 3月号)大塚常好=文

            ~抜粋~

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