中国の通貨 元 の話

人民元の為替レート推移チャート

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中国の通貨である元(人民元)は、2005年6月までは1ドル=約8.28元の固定相場制でした。中国の経済成長を考えると、本来はもっと元の価値は高くなるはずなのですが、そうなれば輸出で儲けている中国にとっては不利になるので、中国人民銀行が為替市場に介入して、常に1ドル=8.28元程度になるよう調整していたのです。

ゆえに、円と元の為替相場と、円とドルの為替相場はほぼ同じように連動しています。下の為替レート図は、レートの目盛りが同一レンジに収まるよう、範囲を調整したものです。二つの折れ線グラフの値動きがほぼ一致している事が、人民元と米ドルが固定されていたことを証明しています。

しかし2005年6月、中国政府は通貨バスケット制の導入を発表し、人民元の切り上げに踏み切りました。上のチャートでも、同じような値動きをしながらも、2008年あたりで元とドルの上下が逆転していることから、人民元が切り上がっていることが見て取れます。

アメリカからの切り上げ圧力が最も大きな原因ですが、為替介入する為の負担が大きくなりすぎた事も要因の一つでしょう。中国の外貨準備高(為替介入によって生じる外貨建て資産。相手国の国債など)は、2005年6月の段階で約7000億ドルと日本に次いで世界第2位の規模にまで膨れ上がっています。 ※追記:2008年で中国の外貨準備は1兆8千億ドルと、ダントツ世界一になっています。

為替介入、つまり「元売り=ドル買い」をする度に、中国政府はドル建て資産を抱える事になります。世界銀行の試算では、現在の「1ドル=約8.2元」という為替レートは、購買力平価で試算すれば約5分の1の評価だと述べられています。現在の5倍の元高になるかは分かりませんが、少なくとも将来的に「元高=ドル安」の為替相場になっていくことは、99%以上間違いないでしょう。

元高が進めば、外貨建て資産の価値は目減りします。例えば、中国政府がアメリカ国債を1ドル分買うには、現在は8.2元を支払う事になります。しかし数年後、この国債が満期を迎えて換金しようとした時、元高=ドル安が進んでいて1ドル=4元になっていれば・・・元ベースで考えた場合の資産が半減してしまうのです!

つまり極論すれば、為替介入して外貨準備高が増えるという事は、将来的な「負の資産」を抱える事だということです。それでも、輸出で儲けている中国にとって、急激な元高になることは大きなマイナスですから、たとえ将来にツケを回すことになろうとも、為替介入で元高を抑え、経済成長を支えている輸出産業を守ろうとしているのです。

また中国政府は、人民元の切り上げをアメリカとの外交カードとして利用していることからも、今後も急激な切り上げは行われず、年5%以下の小幅な切り上げ幅が続くと予想されます。

※余談ですが、人民元は英語表記ではRenminbi(RMB)と表記されます。

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