グローバル人材が欲しい!
ほんじつは、なるほど!っと思いました。先日読んだ「ハーバード流宴会術!」のような記事です。
私は思うに、宴会で気をつかえる人も素晴らしい、それに加えて外国語もマスタしているば、鬼に金棒!
ではないかと下記の記事を読んで感じました!
就活が本格化すると、こぞってTOEICの教材を買い込む学生たち。日本の歴史や文化をよく知らないまま、英語ができるだけの「グローバル人材」となった若者たちに、仕事ができるわけはない。
~グローバル人材が欲しい!~
楽天のある幹部が言う。
「一度、英語が堪能だという新入社員に、海外の取引先に電話をさせたことがあった。一見スムーズにやりとりしているように見えたのですが、あとで相手の担当者から私のところに電話がかかってきた。電話先の相手は中国人で、英語はできるがネイティブではなかったため、内容が全く通じていなかったんです。そういう人と話すとき、ましてや電話では、簡単な単語を使ってゆっくり話すものですが、その新人にはそうした常識がなかった。話が通じているのかわからないまましゃべり続けるなんて論外です。コミュニケーション能力がないんでしょうね」
最近、日本企業で「英語はできるが仕事ができない」社員が急増している。
'12年7月から社内公用語を英語に完全移行し、'13年入社の新入社員にも、入社の必須条件としてTOEIC750点(990点満点)を課している楽天も、前述のようにその例外ではない。ちなみにTOEIC受験者の平均点は570点。「点数」としてはかなり高いハードルを設定しているはずなのに、皮肉にも「使えない社員」が続々と入社している実情がある。
楽天幹部が続ける。
「就職のためにTOEIC対策をして、高得点をとりましたといった感じの新入社員が多い。ウチも有名企業になったからか、中途半端に安心感を求めて入ってくる者が増えたんですよ。昔は『楽天で経験を積んで起業してやる』という鼻っ柱の強い奴がいたが、いまの新入社員は確かに英語はできるが、みんなこぢんまりしている。彼らにとって、英語は社内で身を守る道具にすぎないんです」
楽天と同じく英語を社内公用語にしたユニクロの場合はどうか。会長兼社長・柳井正氏はインタビューに対して、優秀であっても英語ができない学生は「いらない」と断言したが、'11年にユニクロに入社した元店長は、「ユニクロの英語力」に疑問を呈す。
「僕は、会社説明会で『これから世界一を目指していく』『グローバル人材を求めている』と先輩社員が熱く語っている姿に惹かれ、入社しました。しかし、いざ配属になった店舗では、英語なんて一切使わなかった。海外へ行けるような社員は、現場で結果を残し、試験をクリアし続けた一握りの人だけ。それがユニクロの現実です」
「ここ3~4年の間に、採用に英語力を重視する企業が一気に増加しました。インフラや飲食、メガバンクなど、ドメスティックで英語は使わないだろうという業界にまで、その傾向は広がっています。何とか海外に活路を見出したいと思っている経営者が、闇雲にグローバル人材を欲しがる印象がある」
仕事で本当に役立つものとは
だが実際の仕事の現場では、この「グローバル人材」がクセ者となるケースがある。たとえば、'12年に大手損害保険会社へ入社したA君。彼の同期が語る。
「A君は、グローバル採用という制度を利用して、ボストンで採用されたUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の卒業生でした。その肩書通り、確かに英語はペラペラで、TOEICの点数も同期40名のうち、トップの940点だった」
当初A君は、同期だけでなく、上司からも「あいつのスペックはすごい」と期待されていた。しかし、入社後まもなく始まった、研修センターでの集団行動からボロが出始めた。
「まず、敬語がまったく使えない。研修担当の社員に注意されると『向こうには敬語がないから』と言い訳し、ふて腐れる。会議中にも、『頭の中では英語で考えているから、日本語がすぐに出ない』などと言っては周囲をいらつかせ、夜の宴会で社員から『ウーロンハイを作ってくれ』と言われると、『ぼくは店員じゃないです!』とキレるといったありさまでした。上司からの評価もガタ落ちです」
「グローバルかぶれ」の典型のようなA君。研修を終えた後は、島根配属が決まった。しかし、彼にはそれが我慢ならなかった。「俺はグローバル人材だ。田舎の中小企業のおっさん相手に営業をするために入社したんじゃない」と言い放ち、島根の地に一歩も足を踏み入れぬまま会社を去ったという。
全世界に現地法人をもち、就活生にも「グローバル企業」の代表格として扱われるグーグル。だが、同社日本法人の中堅社員も、グローバル人材を自任する新人ほど使えないと言う。
「グーグルの場合、そもそも社員は英語を話せることが前提。採用活動の段階で、英語のみのグループディスカッションや課題を与え、ビジネスの場で英語を使えない人をふるい落としていますからね。
しかし、『グローバル企業』に憧れて入社した新人のなかには、日本の企業文化がわかっていない者が多い。たとえば私の部署のイギリス生まれイギリス育ちの女子社員。当然、英語もペラペラですが、自己主張が強すぎる。彼女の仕事は広告営業。広告を載せてもらうのが仕事ですから、取引先の接待やご機嫌伺いも必要になる。そういった場に、英語はいらない。むしろ日本特有の遠慮や謙遜が必要ですが、彼女には一切それができない。飲み会でも会議でも、ずっと自分の意見を述べ続けている。当然、煙たがられますよ」
現場で使わないにもかかわらず、英語力を求める企業側にも問題はある。『日本人の9割に英語はいらない』の著者で、米マイクロソフト日本法人社長も務めた成毛眞氏は言う。
「ユニクロをバカにするわけではないが、服を売るために英語が必要ですかね。たとえば日揮のように複雑なプラントをつくるのなら必要ですが、ショップ店員なら、立派な英語なんて絶対に必要ない。英会話程度で十分です。そもそもユニクロは、どれだけ英語のできる社員をとっても3年以内にその多くが辞めてしまうじゃないですか。
私の娘は商社に就職したんですが、英語力に自信がない彼女に『英語を勉強するくらいなら、下手でもゴルフを覚えた方がましだ』とアドバイスを送りました。実際、入社前にゴルフを覚えた娘は接待の場で活躍しています。娘にも『現実的なアドバイスだった』と感謝されましたよ」
むしろトラブルのもと
先ほど取引先とトラブルを起こす例を挙げたが、「英語だけ社員」は社内のマネジメントに失敗するケースも多い。大手鉄鋼メーカーの若手社員が言う。
「英語ができて、自分の能力に自信がある社員ほどダメになりますね。僕が入社した'11年は、40人ほど同期がいるのですが、すでに2人辞めて4人が鬱になっています。辞めた同期はアメリカの大学院を卒業してMBAまで取得していた」
同社では、新人は各地の工場勤務となり、3~4年経理や生産管理を担当する。工場に大卒は彼らだけで、管理責任者も地元雇用の叩き上げだ。英語エリートは彼ら「非エリート」との付き合い方がわからない。
「本社から月毎に生産目標が下されるんですが、それはいつも、普通にやっていたのでは達成できない値です。職人さんに無理を言い、休日勤務やサービス残業をお願いして、どうにかクリアしている。そんな現場で必要なのは英語ではなく、人情や謙虚さです。自分には能力があるなどと思っていると、とてもじゃないが上手くいきません」(同前)
食品メーカーに昨年入社したB君も、会社内での対人関係に苦しんでいる。
「40人ほどいる同期の中で、僕は唯一TOEICが900点以上でした。ところが、自分で言うのもなんだけれど、まったく仕事ができない(笑)。グローバル人材と見込まれた新人は、うちでは人事か経理に配属されることが多く、僕も人事に配属されたのですが、正直、異動や出向社員に関する資料づくりや事務作業などに興味がないんです。気遣いもできない。減俸を社員に告げなければならない場面で、『給料がトゥーマッチですね』と言ってしまい、相手を激怒させたこともある。
英語力を買ってもらったのはありがたいですが、僕が英語ができるのは、高校まで親の仕事の都合で海外にいたから当たり前なんです。それなのに、グローバル人材などと言われて人事部に配属されても困る」
ここまでは、「本当は英語など必要ない」仕事のケースだった。だが、実際に英語が必要な海外のビジネスの現場でも、やはり「英語ができて仕事ができない社員」が続出している。
大手家電メーカーの海外営業部社員が言う。
「ニューヨーク支社で若手社員と一緒に仕事をしていました。彼は帰国子女で、英語の『会話』はまったく問題ありませんでした。営業という部署柄、取引先と食事をする機会が多かったんですが、一度、相手に『首相の靖国参拝をどう考えているか』と聞かれたんです。彼は歴史的な背景を知らず、ロクに答えられなかった。以来、先方からは軽く見られるようになった」
900点でもしゃべれません
海外での現場を知る、前出の成毛氏も言う。
「特に注意すべきは、親の都合で小さな頃からバイリンガルという帰国子女タイプ。日本語と外国語、両方の語学のレベルが未成熟のままで止まっており、説得力のある言葉が話せない。重要なのは英語を話せるかどうかではなく、英語で何を話すか。人間的な深みがなければ意味はない。意外に思うかもしれませんが、アメリカ人同士で営業する際は、手揉みして土下座する勢いで相手に取り入ります。日本と同様、平身低頭で営業する。その現実を知らず、英語力だけの人を雇うと、企業側も苦労します」
真のグローバル人材は、自国に根があり、歴史観や宗教観といった教養を身につけている。そして、ルーツを互いに尊重できなければ、海外ビジネスの現場で、信頼は得られない。
多くの大手企業に社員教育システムを提供している株式会社パフ社長・釘崎清秀氏も続ける。
「英語ができるなんて、読み書きソロバンができるのと同じようなレベルの話なんですよ。ソロバンができても仕事ができるとは限らない。英語も同じことです。英語圏で育てば、誰だって英語が話せる。彼らがみな仕事ができるかといえば、そんなわけはありません。常識で考えればわかることなのに、それを忘れている企業側も問題です」
英語はビジネスの「道具」に過ぎないのであって、それを操る人間に中身がなければ結果には直結しないのは当たり前だ。
現在、企業がグローバル人材を採用する上で、TOEICがほとんど唯一の判断基準となっており、ここにも根本的な問題がある。
就活に有利という触れ込みで、'12年度には過去最高の230万人が受験したTOEIC。しかし、TOEICができてもビジネスには活きないと、'12年に大手メガバンクに入社した東大OBが、断言する。
大手商社のある管理職も、「TOEICの点数と真の英語力は違う」と痛感させられた一人だ。
「TOEICが800点で、語学が堪能ということで、私の部署に配属されてきた新人を、外国のお客さんの接待の場に連れて行ったんです。驚きましたね。まったくしゃべれないんだ。お通夜みたいにただ食べて飲んでいるだけ。接待するこちら側が逆に気を