理学療法士!

理学療法士

理学療法士
英名 Physical therapist
略称 PT
実施国 日本 アメリカ合衆国カナダ オーストラリア イギリス ドイツ フランススウェーデン デンマーク 韓国など世界105ヶ国
資格種類 国家資格
分野 医療福祉
認定団体 厚生労働省
認定開始年月日 1965年(日本)
等級・称号 理学療法士
根拠法令 理学療法士及び作業療法士法
 ウィキプロジェクト 資格
 ウィキポータル 資格
理学療法士(りがくりょうほうし、Physical TherapistまたはPhysio Therapist)は、医療資格(コ・メディカル)の一つである。

非表示 概要

理学療法士(PT)の定義

「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に「理学療法」を行うことを業とする者をいう。「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。(理学療法士及び作業療法士法昭和40年6月29日法律第137号第2条)

理学療法士(PT)の業務

理学療法士は、診療の補助として理学療法を行なう(理学療法士及び作業療法士法第15条)

理学療法士は、一般に考えられている高齢者、事故などにより発生した身体機能障害の回復のためのトレーニングのみならず、脳卒中での麻痺などから、新生児の運動能力の発達の遅れ、循環器・呼吸器・内科・難病疾患等の身体的な障害を持つ人に対して、医師(時に歯科医師)の指示の下、その基本的動作能力の回復を図ることを目的に、治療体操その他の運動を行わせ(運動療法という)、及び電気刺激、温熱、寒冷、光線、水、マッサージなどの物理的手段を加える(物理療法という)者であり、その物理的治療手法による治療を理学療法という。理学療法・作業療法・言語聴覚療法を治療の中心としたものがリハビリテーション病院である。

日本では専門学校教育においてこの職種の養成教育が始まり、当初は養成校の数は少なかったが、近年急激に増設された(理学療法,21(12):1498-1507,2004)。理学療法士の国家試験を受験するためには、養成校で3年以上学び、必要な知識と技術を身につけることが必要である。現在、養成校には大学(82校)、短期大学(5校)、4年制専門学校(82校)、3年制専門学校(80校)、特別支援学校(視覚障害者が対象)があり、より専門的な知識を身に付ける場合、研究職をめざす場合などは大学院もある。(修士課程・博士課程)。学校総数249校(現在募集校 239校,定員13,224名) 平成22年7月2日現在[1]。

なお、日本においては理学療法士は業務独占資格ではない為、理学療法自体は理学療法士でなくても法律上、業として行うことができる。日本運動器リハビリテーション学会では、日本整形外科学会専門医が所属する医療機関に勤務している運動器リハビリテーション従事者(看護師、准看護師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師など)を対象に運動器リハビリテーションセラピスト認定試験を行い、認定を受ければ運動器リハビリテーションセラピスト(通称:みなしPT)として、定められた基準の施設において、医師と理学療法士の指示・監督の下に、一部の保険点数に関わる立場になれる(2008年度資料[2])。

日本の現代リハビリテーションにおける非常に重要な問題

理学療法と、その他重要な作業療法、言語聴覚療法など、僅か十数年前は養成校が少なく狭き門であったが、規制緩和により平成12年以降より乱立といわれる養成校の新設ラッシュが生じる。これに伴い年々新有資格者が過剰輩出されており、専門職としての質の低下を危惧されている。その増加の急激さは、理学療法士については資格誕生から40年近くをかけて2001年で3万人に満たなかった有資格者数が、2009年現在までの僅か数年で約7万4千人となっている事からも明白である。世界的に見ても近年の日本における理学療法士有資格者数の増加率は異常であり、現在では連盟会員数でアメリカを抜き、世界第1位の会員数を誇るまでとなった(会員数 日本53751人 アメリカ50766人)平成22年現在[3]。また、世界理学療法士連盟のガイドラインでは、大学レベルでの養成教育が推奨されており、教育・研究の質向上と理学療法学の構築が求められている [4]。

昨今では既に就業も困難な状況でありながら養成校の入学定員は1万3千人を超えているといった現状を受け、その養成制度の見直しと職域の拡大が急務とされている。既に理学・作業療法士は求人数が一定しない状況下であり、現職者の待遇も軒並み低下している現状にある。 高齢社会をピークに向かえ、さらに欧米化した食生活、生活習慣病や医療技術の発展による中枢神経障害に対するアプローチの進化は日進月歩であり、医師・看護師その他の医療技術者と情報と理解を一に出来うる理学療法士ならびに作業療法士・言語聴覚士の社会的必要性は疑うべくもないが、近年における養成校の乱立は、理学療法士の質の低下を招く温床と危惧されるのは当然である。 平成18年度の医療改正において度重なる診療報酬の低下はもとより、「理学療法料」という名称は無くなり作業療法・言語聴覚療法とを統合して「リハビリテーション料」として算定されるようになった。またその治療対象も疾患別で限定されるようになり、治療日数に制限も課せられた。さらには看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師等の他職種も、一定の講習を受けるだけで一部のリハビリテーション料を保険請求できるようになり(みなしPT)、理学療法士を取り巻く環境は急速に厳しいものとなっている。

理学療法の中に、熱・電気・光線・水等、また機械的および他の物理的方法を用いた物理療法中心の「リハビリテーション」という流れは根強いが、例えば整形疾患において「運動療法」が今日重要視されてきているのは、単なる温熱や単一的な物理療法、マッサージだけに終止する場合の効果のみでは不十分であるからであり、物理療法やリラクセーションもリハビリに欠かせないものであるが、その後の運動療法や理学療法士などによるセラピー(練習・訓練)という物理的手法も伴ってこそ、その価値を発揮するものである。

また、理学療法というものはリハビリテーションの「殆どすべてを代表するもの」ではなく、作業療法や言語聴覚療法等との連携、医師、看護師、義肢装具士、臨床心理士、社会福祉士、教師、家族や地域社会との連携によるチームアプローチにより最大の効果を期待するものである。

介護保険分野においても介護・リハビリを主として在宅復帰を支援する施設として、理学・作業療法士の配置義務がある介護老人保健施設での利用者100人に対して常勤の理学・作業療法士いずれか1名、という極めて低い人員基準は理学・作業療法士が介護保険法制定時から、数倍に増加した現在でも変わっていない。理学療法士がこのような危機的状況に陥ったといえる背景には、医療リハビリテーションの専門職を謳いながらも名称独占資格から抜け出せない事、職能団体である日本理学療法士協会がこれまで政治的介入に疎く、組織として理学療法士の専門性や職能地位向上に向けての働きかけが成されて無かった事も関係している。また同協会執行役員に養成施設の教職員が偏在し、自身の所属する学校の利益追求を最優先に、臨床及び施設現場の現状を省みるに至らなかった経緯も然りであろう。

日本のリハビリテーションの歴史は浅く、米国・イギリス・ドイツなど他の医療先進国に大きく遅れをとった。昭和40年以降、急速に拡大した需要に理学療法士の絶対数が足りない状態が長く続いた。その対策として「みなしPT」が法によって規定され現在も多く存在する。みなしPTは、看護師の他、柔道整復師ならびにあん摩マッサージ指圧師の資格を有していることが条件である。また、定期的に講習を受け、みなしPTとしての資格を更新し続ける必要がある。みなしPTは医師または理学療法士の指示の下、理学療法士の監督下で業務を行うことができる。みなしPTは一定の診療報酬を算定できる。対象疾患、施設基準によって点数は変わるが、概ねPT、OT、STの約5割程度に設定されている。また、医療機関でみなしPTとして業務を行っている者は実際には柔道整復師かマッサージ師で占められている。看護師のみなしPTは非常に少ない。

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